両面ガラスパネルで乗り切るトラブルシューティング(2)1000℃の炎まで耐えて火災を防ぐ

両面ガラスのパネルは、裏面の樹脂製バックシートを表面と同じようにガラスに代え、2枚のガラスで挟んで封止する。これによって、水分などを通さない密閉構造になり、信頼性が向上する。

樹脂製バックシートは、耐火性にも課題がある。万が一、太陽光パネルが燃えたり、周辺の火災の影響で太陽光パネルが火炎に包まれるような状況になったりした場合の備えである。

太陽光パネルは、日中の日が射している時間は、常に発電している。もし、太陽光パネルが燃えたり、火炎に包まれたりするような状況になっても、発電は止まらない。

こうした場合、樹脂性バックシートが燃えやすいことが問題になる。日中に、樹脂性バックシートが燃えてしまうと、パネルは発電しているため、そのままひたすら燃え続けることになる。送電ケーブルを切断しても、パネルそのものの発電を止めることはできない。

太陽光発電の普及が先行したドイツなどの欧州各国では、こうした発電中の太陽光パネルの火災が問題視され、太陽光パネルの耐火性に関する法律や規制が定められているとしている。米国でも同じように、太陽光パネルの耐火性への対応が強まりつつあるという。

太陽光パネルの耐火性に関する基準には、例えば、米ULが定めている「UL790」がある。UL790では、樹脂性バックシートで封止したパネルの耐火性は、上から3番目となる「Class C」に該当するという。

UL790では、「火炎拡大試験」や「燃焼ブランド試験」を通じて、耐火性を評価する(図)。「火炎拡大試験」では、軒下からの火災に対する安全性能を評価する。ガスバーナーを使い、風で煽った704℃の炎を、太陽光パネルの表面に接触させる。

パネルに炎を吹き付けたり、燃焼物を置いたりして耐火性を評価(出所:トリナ・ソーラー・ジャパン)
図 パネルに炎を吹き付けたり、燃焼物を置いたりして耐火性を評価(出所:トリナ・ソーラー・ジャパン)

両面ガラスの太陽光パネルは、耐火性に優れるガラスで両面から挟み込むために、パネルが火炎に包まれても、1000℃までは耐えられるという。UL790による評価では、最高レベルの耐火性を示す「Class A」となっている。(日経BP総合研究所クリーンテック研究所

 

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