大きな空間を持つホームセンターでZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現した「ロイヤルホームセンター足立鹿浜」。運営するロイヤルホームセンターは複数のZEB店舗を展開している。事業者としてZEBに取り組む意義をどう考えているのか。前編に続き、関係者に解説してもらう。

 


ロイヤルホームセンター足立鹿浜(写真:守山 久子)

 

─2018年4月に完成した「ロイヤルホームセンター足立鹿浜」(東京都足立区)はZEB Readyの大型物販店舗です。これまでもZEBの店舗を複数出店していますね。

 

藤井孝章氏(ロイヤルホームセンター店舗開発統括部店舗開発部建築設備グループ) 当社がZEBリーディング・オーナーとしてZEBに携わるのは、「長久手」(愛知県長久手市、2015年2月リニューアルオープン)が初めてで、20年の夏ごろにオープン予定の「戸田公園」を加えると3店舗になります。他社との共同事業では「津島」(愛知県津島市、16年4月開業)、「南千住」(東京都荒川区、16年5月開業)の2店舗があります。

 

─店舗の仕様はZEBを前提としているのですか。

 

藤井 足立鹿浜店を含め、ZEB化を図った店舗は全て経済産業省のZEB実証事業の採択を得て建設しています。補助事業の公募期間を見ながらスケジュールに合致した物件を選んでZEB化を進めているため、スケジュールに合わずにZEB以外で新築した店舗もいくつかあります。ただしZEB以外の新築店舗もBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の認証を受け、一定の温熱性能を確保しています。

 

─ ZEB店舗はどのように性能を高めていますか。

 

藤井 足立鹿浜店の場合、建物に関しては基本的にこれまでのZEB店舗とほぼ同じ仕様としています。厚さ100mmのグラスウールを外壁と屋根に施し、窓はLow-E複層ガラスを採用しました。空調機なども、高効率な機種のうちでもハイグレードなタイプを選ぶことになります。ZEBにすること自体は技術的にそれほど大変ではありません。

 

 ZEB化していない既存店舗でスタッフから多く挙がってくる声は、冬の寒さではなく夏の暑さです。広い面積を持つ折板屋根が直射日光を受け、その放射熱で店内が暑くなってしまうからです。その点、屋根面を断熱材で覆うことによる暑さの軽減効果は大きいと考えています。さらに足立鹿浜店では2階の店舗部分に屋上緑化を施し、熱負荷の低減を図っています。

 

─足立鹿浜店ではカメラセンサーを用いて空調、照明、換気の運転を制御しています。実際の運用状況はいかがですか。

 

藤井 2018年4月のオープン直後は来店者数も多かったので、客足が少し落ち着いて平常な状態になってからのデータで調整しているところです。いまのところ設計時に算定した1次エネルギー消費量の削減率66%よりも良い数値を得ており、今後も悪化しないように随時運用上の是正を図っていく予定です。

 

 既存店舗では外皮性能などの具体的な数値を把握できていませんが、ZEB以外でも主要な店舗ではBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を導入して電力のデマンド調整に利用しており、データを取っています。ZEBの仕様とZEB以外の仕様でどのような違いがあるかを検証していくことで、ZEB以外の店舗でも運用の工夫で消費エネルギーを減らす部分が見えてくる可能性があります。

 

メガソーラーの事例も

 

─足立鹿浜店では太陽光発電設備を設けていませんが、ほかのZEB店舗では設置していますね。

 

藤井 足立鹿浜店は諸条件から太陽光発電を取り入れていませんが、津島店のように屋上にメガソーラーを設置した事例もあります。津島店はZEB実証事業の申請段階ではNearly ZEBとしていましたが実際にはZEBを達成しています。

 

 これまでの経験上、蓄電設備を設けなくても店舗内で消費する電力量の3割くらいなら太陽光発電で賄えるという感触を持っています。

 

 もっとも太陽光発電パネルを設置するのはそう簡単ではありません。大規模小売店舗立地法(大店立地法)によって売り場面積に応じた駐車台数が定められているため、パネルを設置できる場所が限られるからです。津島店以降の店舗では、太陽光発電設備を設ける場合でも津島店ほどの容量は確保できていません。

 

─既存店舗の省エネ改修についてはどう計画していますか。

 

藤井 大和ハウスグループは環境と企業利益の両立を掲げた「エンドレス グリーン プログラム」を進めており、当社も早い時期から照明機器の発光ダイオード(LED)化を進めてきました。既存店舗ではLED化がほぼ終了し、次にエアコンの更新をしている段階です。LED化が一回りすると今後は大きな削減が難しくなります。空調の高効率化も期待できますが、あとはいかにオペレーションで削減していくかが重要になるでしょう。

 

 条件によっては太陽光発電パネルを設置できる可能性もあります。大店立地法で主に想定しているスーパーマーケットなどの業態は利用者の来店頻度が高く、多くの駐車場が必要です。それに対してホームセンターは売り場面積に対して必要な駐車台数がそれほど多くないため、いざ営業を始めると駐車場が余るという状況がしばしば生じます。大店立地法の変更手続きなどの手間はかかりますが、こうした余剰の駐車場部分にパネルを設置する余地はあると考えています。

 


ロイヤルホームセンター店舗開発統括部店舗開発部建築設備グループの藤井孝章氏(写真:守山 久子)

 

(日経クロステック「省エネNext」公開のウェブ記事から抜粋)

 

 


これからの時代は企業として省エネ、創エネ、畜エネへの取り組みが求められます。グローバルのトップ企業トリナ・ソーラーの高品質で高パフォーマンスの製品の中から最適なパネルをお選びください。

     

    関連コンテンツ

ブログTOPはこちら 製品一覧はこちら
お問い合わせフォーム

関連する記事